本コーナーで東北地区をご紹介するのは4年ぶりとなります。本年が東日本大震災の発生から10年目の節目の年となるため、東北地区におけるこれまでの「復興の歩み」をご紹介致します。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北から関東にかけての東日本一帯に大きな被害をもたらし、特に東北においては地震だけではなく、津波や原子力災害が重なる甚大な複合災害となりました。神溶会各社様におかれましても、事務所の浸水や一部倒壊などもあり、今後の企業継続が危ぶまれる厳しい状況を迎えました。代理店様や地区共同倉庫では多くの製品が破損し、また製品も輸送手段も限られていたため、一時はデリバリーが完全に停止する状況に陥りました。一方で徐々に生産を再開したユーザも増えつつある中でデリバリーの復旧は急務となり、神溶会各社が一丸となって、安定供給体制の構築に向け奔走したと伺っています。
また同年に「神溶会60周年 ベストパートナーキャンペーン」を開催しました。「頑張ろう!東北、支えあおう!神溶会」をテーマに、「東北地区の復興支援」を目的とした活動を行いました。その一環として、被災で移転を余儀なくされたポリテクセンター宮城様にキャンペーンの売上の一部を寄付し、シャーリング機や集塵機、溶接機などを新たに整備いただきました。また、期間中は重点商品となる「REGARC™省スペース型コア・仕口兼用溶接システム」を搭載したキャラバンカーで各地を巡回し溶接実演を行い、復興に向けた象徴的なキャンペーン活動だったと今でも話題に上ります。
年度 | 主なトピックス | 東北神溶会活動 |
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2011年 | ・3/13 三陸沖を震源としたM9.0の地震が発生 ・4/12~15 福島第一原発1、3、4号機が水素爆発 ・4/14 避難者がピーク(推計47万人)、各地で仮設住宅の入居を開始 ・4/22 原発事故による警戒区域、避難区域を指定 ・4/29 東北新幹線と仙台市営地下鉄が全線開通 ・9/25 仙台空港が全面復旧 |
「神溶会60周年 ベストパートナーキャンペーン」を開催 |
2012年 | ・2/10 復興庁が発足 ・3月 岩手、宮城、福島3県の仮設入居者がピーク(11万6,565人) ・4/1 福島県の一部警戒区域を解除。帰還困難区域を再編 ・5/5 国内の全原発が停止 |
第1回鉄骨マイスター制度講習会。合格者14名 |
2013年 | ・7/3 陸前高田市の「奇跡の一本松」を復元 ・11/3 プロ野球 東北楽天が初の日本一。多くの人の心の支えとなった |
第4回溶接サポーター試験。合格者18名 第1回自動車マイスター講習会。合格者33名 |
2014年 | ・4/1 福島の一部避難指示解除(国による指示は初) ・4/6 三陸鉄道南北リアス線が全線再開 ・9/15 国道6号が規制解除。全面通行が可能に |
第1回造船マイスター講習会。合格者24名 |
2015年 | ・3/1 常磐道が全線再開 ・3/21 JR石巻線が全線再開。宮城県女川町で町開き ・5/30 JR仙石線が全線再開 |
第5回溶接サポーター試験。合格者38名 鉄骨・製缶エキスパート講習会。合格者20名 |
2016年 | ・JR常磐線が一部再開(小高~原ノ町、相馬~浜吉田) | 「東北 ザ・拡販キャンペーン2016」を開催 |
2017年 | ・全国の震災避難者が10万人を下回る ・福島県の一部地域を除き、避難指示を解除 ・3/19 石巻市門脇地区で町開き ・10/28 除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設が本格稼働 |
第6回溶接サポーター試験。合格者19名 |
2018年 | ・7/28 Jヴィレッジが一部運営再開 ・10/25 女川原発1号機の廃炉が決定 |
「BEYOND GENERATIONSキャンペーン」を開催 |
2019年 | ・2/16 三陸沿岸道ICが開通(仙台と気仙沼が直結) ・4/7 気仙沼市の大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋が開通 ・5/26 名取市閖上地区で町開き ・7/31 福島第2原発4基の廃炉が決定 |
第7回溶接サポーター試験。合格者29名 |
2020年 | ・3/14 JR常磐線が9年ぶりに全線開通 ・12/8 全国の震災避難者は4.2万人 |
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2021年 | ・3/7 宮城県内の三陸沿岸道は全線開通 ・3/11 東日本大震災から10年を迎えた |
現時点での資格保有者。溶接サポーター191名、WES2級シニアサポーター66名、エキスパートサポーター21名、WES1級シニアエキスパートサポーター3名 |
さて被災地にとって2020年度は「復興・創生期間」の最終年度となりました。インフラ面での整備は進みましたが、結果的に震災前の水準まで売上が回復した被災企業は半数に届かず、思い描いていた復興像には一部ではまだ遠い状況です。また被災者の「心の復興」に終わりはありません。現在は新型コロナウイルスの感染拡大により、新たな不安が社会を覆っています。コロナ禍においては、震災の記憶が薄れつつありますが、災害関連死を含めて2万2,000人以上の尊い命を奪い、地域の生活を一瞬にして奪った大災害を決して忘れてはいけないと思います。
今年、神溶会は70周年を迎えます。節目の年として、溶接サポーターの方々とともに地域に根差したさらなる復興支援となるべく、さまざまな活動を企画・開催していきたいと考えておりますので、引き続き神溶会活動へのご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。