和歌山県北東部に位置する高野山は、弘仁7年(816年)、弘法大師空海が嵯峨天皇の勅許を得て開創した真言密教の聖地です。標高約1,000メートルの山々に囲まれた盆地には117の寺院が点在し、千年を超える法灯が今も脈々と受け継がれています。
鎌倉・室町期には武士の信仰を集め、江戸時代には徳川家の庇護のもと庶民の参詣地として栄えました。こうした歴史を背景に、高野山は宗教都市として独自の文化と景観を育み、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に登録されています。
秋の深まりとともに、金剛峯寺をはじめとする伽藍群や樹齢を重ねた杉並木が朱や黄金に染まり、厳かな佇まいが静けさと悠久の時の流れを映し出します。