5月12日(火)、ホテルオークラ京都にて神溶会全国総会が開催されました。当日は、神溶会会員である商社・地区指定商社の代表の皆様をはじめ、マスコミ各社、当社溶接事業部門の幹部など、総勢約100名の方々にご参加いただきました。総会後の懇親会では、参加者同士が旧交を温めるとともに、新たな交流も広がる有意義なひとときとなりました。終始なごやかで賑やかな雰囲気の中、盛会のうちに閉会いたしました。
本日はご多忙の中、『神溶会全国総会』にご参集いただき、誠にありがとうございます。
また平素より、当社の溶接材料ならびに溶接ロボットシステムの拡販、神溶会の諸活動に積極的にご参画いただき、高い席からではございますが、厚く御礼申し上げます。
最初に、全社の経営概況について少しお話しさせていただきます。
2024年度から進めております当社グループの中期経営計画では、「稼ぐ力の強化と成長追求」ならびに引き続き「カーボンニュートラルへの挑戦」の2点を最重要課題と位置付けております。これらの重要課題の達成に必要な「変革」を「KOBELCO-X」と総称し、変革を通じたサステナビリティ経営の強化を図っております。
昨日、2025年度の決算を発表いたしましたが、KOBELCOグループ全体では、鉄鋼主原料および発電用石炭の価格下落に伴う鉄鋼・電力での販売価格の低下などにより、減収・減益となりました。2025年度のグループ連結売上高は2兆4,365億円、連結経常損益は1,213億円となりました。
また、溶接事業部門におきましては、数量は国内外ともに前年度並みでしたが、価格は価格転嫁の進展等により上昇した一方、コストは労務費等を中心に増加しました。その結果、売上高は964億円、経常利益は58億円となりました。
今年度も、当社グループが持つ総合力を活かし、さまざまな個性を持つ人材と多様な技術・事業との「掛け算」により新たな価値を創造し、事業の拡大・発展はもとより、社会への貢献を果たしてまいります。
続きまして、今年9月に「2026国際ウエルディングショー」が東京ビッグサイトで開催される予定です。今回は技術発信にこだわり、過去最大規模の展示を行い、新しい技術やこれまで培ってきた技術などを幅広く紹介する予定です。
具体的には、鉄骨分野における鉄骨梁組立・本溶接ロボットシステムをはじめ、当社独自の溶接プロセスであるや、AI画像認識技術を活用したAI Welder™など、人手不足の解消や施工品質の安定化に貢献する技術を積極的に発信してまいります。さらに、溶接ロボットや自動化技術に加え、溶接施工を支える溶接材料や教育・人材育成の取り組みまで含めて紹介することで、単なる設備展示にとどまらず、お客様の現場課題にどのように応えていくのかをご体感いただける構成としています。ぜひ皆様、会場へお越しください。
さて、最近では中東情勢をはじめとして外部環境は日々大きく変化しています。当社グループとしましては、引き続き「品質を経営の柱」とし、信頼される技術・製品・サービスを提供し続けるとともに、お客様とのコミュニケーションを積み重ね、神溶会の皆様とともに明るい未来を実現していきたいと願っております。
皆様のご期待にお応えするべく、引き続き精進を重ねてまいりますので、重ねてご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げますとともに、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、各社様のますますのご繁栄と、本日ご出席の皆様方のご健勝を祈念申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。
株式会社神戸製鋼所
溶接事業部門
マーケティングセンター
国内営業部長
神溶会会長
広崎 成一
平素より神溶会の活動に対し、会員の皆様には深いご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。全国概況についてご報告申し上げます。
2025年度は、慢性的な人手不足の影響により、特に中小物件において図面作成や現場工事の遅れが生じたほか、資機材価格の高騰も重なり、計画の見直しや延期が相次ぎました。その結果、数量は342万トンとなり、昨年度よりさらに減少いたしました。また、2023年度以降は400万トン割れが常態化しており、コロナ禍で前年から大きく落ち込んだ2020年度の412万トンの水準すら遠のくなど、需要環境は非常に厳しい一年となりました。
2026年度につきましては、首都圏を中心とした大型物件が予定されているものの、外部環境の大幅な改善は見込まれず、355万トン程度で推移すると見込んでおります。
2025年度の受注量は、3年連続で1,000万総トンを超える水準で推移しており、2021年度以降、非常に高い受注実績となっています。国内の造船用鋼材加工量を見ても高い水準を維持しており、手持ち工事量も約3年から3年半分を確保するなど、工事量は潤沢な状況にあります。一方で、各造船所においては人手不足が大きな課題となっており、生産性向上および省人化に向けた設備投資が最優先で検討されています。しかしながら、2026年度においては、その効果はまだ限定的であり、加工量は微増にとどまると見込んでおります。ただし、中長期的にはいずれ上昇局面に入るものと予想しております。2025年度の鋼材加工量は前年度比で横ばいではあるものの、政府が「造船業再生ロードマップ」を示しているとおり、2035年度に向けては増加基調が見込まれます。
2025年度は、中東地域向けで減産の影響を受けたものの、型式認証不正の影響が解消され、HV車の生産は好調に推移し加えて、円安による為替差益により輸出競争力が向上した結果、概ね2024年度並みの851万台となりました。
依然として、中東情勢の影響や米国政府の関税措置による不透明感はあるものの、米国および欧州におけるHV車市場は、引き続き堅調に推移すると見込んでおります。
ただし、資材価格の高騰や地政学リスクなどを背景に、大幅な需要回復は見込みにくい状況です。このため、2026年度は2025年度並みの851万台程度で推移する見通しです。
国内のLNG(液化天然ガス)は、主に火力発電用燃料および都市ガスの原料として使用されており、その約6割が火力発電用、約3 ~4割が都市ガス用とされています。近年では、船舶燃料や工場ボイラー、非常用発電、分散型エネルギー源など、低炭素エネルギーとしての活用も進んでいます。
東日本大震災以降、原子力発電の代替としてLNG火力発電の需要は2010年代に急激に拡大しましたが、その後、貯蔵タンクの建造は一旦ピークアウトしました。現在では、国家備蓄や次世代エネルギーの調整用タンクの増設案件が増加傾向にあります。
業種動向と同様に、資材価格の高騰や地政学リスクなどの影響を受け、大幅な需要回復は見込みにくいと想定しています。造船以外の業種では、特に建築鉄骨分野における需要低迷が大きく影響し、2025年度は前年度を下回る201千トンと見込んでおります。
2026年度についても、建築鉄骨分野での需要回復が期待されるものの、全体としてはほぼ横ばい程度にとどまる見込みです。
2026年度の神溶会活動方針として、まず溶接サポーターとの同行巡回を軸に、販売強化を推進していきたいと考えております。その中で、自動化・省人化・教育ニーズに対応したソリューション製品に特に注力し、さらなる販売強化を図ってまいります。
本年度より、本格的に優秀サポーター表彰制度が開始されます。顕著な拡販成果を上げられた溶接サポーター様には、各地区で開催される地区総会にて表彰させていただきます。
つきましては、積極的な同行巡回ならびに拡販活動に取り組んでいただき、本日ご出席の地区のリーダーでもある地区指定商社様の中から、ぜひ受賞者を輩出していただきたいと考えております。
溶接業界最大のイベントである国際ウエルディングショーが、2026年9月に東京ビッグサイトにて開催されます。KOBELCOブースでは、当社として過去最大規模となるスペースでの展示を予定しており、最新技術をご紹介いたします。具体的には、鉄骨梁組立・本溶接ロボットシステム、、および画像認識技術を搭載したAI Welder™の実演展示を予定しております。また、最新技術の紹介に加え、人材育成や教育に関する課題解決に向けた取り組みについても、グループ一丸となって発信し、お客様の課題解決に貢献できる展示内容としております。
梁・H柱の組立溶接工程を自動化することで、省人化および技能レス化を実現します。
梁溶接では、スチフナーやガセットなど多種多様な部材を扱い、そのサイズもさまざまです。スタジアムや展示会場などに使用される超大型構造物では、梁成1,500mmに達するケースもありますが、市場の約8 ~9割は梁成1,200mmとなっております。本システムは、これらの大型梁にも対応可能で、さらに、ハンドリングロボットを活用することで、部材の組立から本溶接まで一貫して対応可能です。
本サービスは、鉄骨ロボットシステムのメンテナンス対応を遠隔でサポートするアフターサービスです。お客様で発生するトラブルに対し、早期対応を実現するとともに、電話での状況確認における認識の齟齬といった課題も解消します。ウェアラブルカメラを使用し、お客様とリアルタイムでロボットの状態を共有することで、迅速なトラブル原因の把握および早期復旧を支援し、さらにインターネットを経由してお客様の鉄骨溶接ロボット用パソコンへ直接ログインし、遠隔での操作サポートも可能です。
溶接において難易度の高い初層裏波溶接の自動化を、小型可搬型ロボット(ARCMAN™ PORTABLE)に小型画像センサ技術とAI技術を搭載することで実現しました。特に、造船における船側外板や橋梁の主塔・橋脚といった分野において、本技術は高い効果を発揮します。
溶接は、ものづくりにおける基盤技術として欠かすことのできない重要な工程です。しかし近年、溶接士の減少や従事者の高齢化に伴い、技能伝承の低下が顕著となっており、現場では溶接士の確保が極めて困難な状況となっております。
このような背景を踏まえ、特に若年層を対象とした技能伝承および技能向上のための研修は今後ますます重要になるものと考えており、こうした思いのもと、本研修センターを人材育成の中核拠点としてご活用いただきたく、このたび施設のリニューアルを実施いたしました。今後は研修事業を通じて、溶接士の人材育成および溶接産業の活性化に貢献してまいります。
VR溶接トレーニングソフトウェア「NUP溶接」を通じて、製造現場における人材育成や技能伝承の課題解決に取り組んでまいりました。これら双方の知見を礎に誕生した「WeldNext」は、従来のVR溶接トレーニングの枠を超え、より現場に近い環境での実践的な溶接教育を実現するために開発された製品です。
本製品は、実環境での訓練を可能とするMR(複合現実)に加え、指導者がオペレーターと同じ空間で指導できる機能を搭載しています。
昨年より、コンテンツ更新や機能に不具合が生じたため、一時的にサービスを休止しておりましたスマートフォン用アプリ「KOBELCO WELDINGアプリ」を、5月12日より再開いたしました。当社製品メニューの閲覧をはじめ、溶接に関する各種サービスをご利用いただけますので、ぜひご活用ください。
本日ご講演を賜りました里崎氏は、「どうすればプロ野球選手になれるか」という問いに対し、明確な答えはないとしながらも、重要なのは強いチームに所属することではなく、“出場機会を得られる環境を選択すること” であると強調されました。さらに、成功を収めるためには感覚や経験則のみに頼るのではなく、データ分析に基づいた客観的判断が不可欠であり、自身の強みや立ち位置を的確に把握することが成果へとつながる旨、ご示唆に富むお話を頂戴いたしました。これをビジネスの世界に置き換えて考えますと、例えば私自身が「優秀な経営者、あるいは優れた社長になるにはどうすればよいか」と問われた場合、やはり同様に、明確な答えを申し上げることは容易ではないと感じております。
本日のご講演は、スポーツの枠を超え、ビジネスや経営においても大いに通ずる本質を含んでおり、戦略的に環境を選択するとともに、データを活用しながら自己成長を図っていく姿勢の重要性を改めて認識させていただく、大変意義深いものであったと思います。
弊社におきましても、溶接材料を中核事業として、さらなる販売拡大を図ってまいりたいと考えておりますが、昨今は中東情勢をはじめとする外部環境が日々大きく変動しており、将来の見通しを的確に見極めることが一層困難な状況となっております。一刻も早く事態が平常化することを願っています。数年前の本会において、高松帝酸株式会社 太田会長のご講話で触れられた、ピーター・ドラッカーの「変化には抗えず、その先頭に立つことが重要である」という言葉が強く印象に残っております。
現在は生成AIや地政学的リスクなど、大きな変化の時代に直面しており、先行きは不透明ではあるものの、新たな時代の兆しも感じられます。そのような中で、変化の流れを的確に捉え、対応していくことの重要性を改めて認識しております。
最後に神溶会の益々のご発展と会員各社様のご繁栄、この場にご列席の方々のご健勝を祈念し、ご挨拶とさせていただきます。