鹿児島県の南方、およそ60kmの海上に浮かぶ屋久島は、面積の約9割を森林が占める自然の宝庫です。
年間を通して雨が多く、「ひと月に35日雨が降る」と言われるほどの多雨の気候は、豊かな生態系を育んでいます。島内には標高差に応じた多様な植物群落が垂直分布しており、南北に長い日本の自然植生をひとつの島の中で見ることができます。
標高1,000メートル以上の山岳地帯には、樹齢数千年に及ぶ屋久杉が自生し、なかでも屋久島最大の杉「縄文杉」は象徴的な存在として知られています。湿潤な気候は苔やシダの繁茂を促し、足元に広がる緑の絨毯が神秘的な森の風景を彩ります。
平成5(1993)年には、島の一部がユネスコ世界自然遺産に登録され、希少な自然環境の保全が図られています。屋久島の森は、生命の営みと時を超えた美しさを静かに物語っています。